5年遅れ
客観的に自分を見つめた夜は 体中の細胞が君を欲す
辻褄合わせで抱きしめた 道徳的に成せない温もり
押し入れの中に眠った 30ワットの情熱は
かび臭い埃を被って 僕に月日を訴えていた
殴り書きのような言葉を信じて 誰も傷つかないような嘘をついた
惰性で火をつけた煙草の煙が 背中を後押ししてくれた
アパートをすぐ飛び出して メトロが運ぶやるせなさ
乱雑に並ぶレコードが 歪みを留めるかすがいになった
気づけば歳をとっていた
5年遅れ あいつが力無く笑って
5年遅れ 俺だけ過去に縋っていた
焼け付くように突き刺す西日が ガラス張りのビルに乱反射して
出勤前のホステスの耳障りな声に 気づかぬくらい底なしに浸っていた
5年という歳月が 僕と世間に距離を作って
二度とはもう追いつけない そんな気にされてしまった
まだ追いかけさせて
5年遅れ イメージ社会の罠にハマって
5年遅れ 言い訳ばかりを考えて
5年遅れ さればとて墓に着物を着せて
5年遅れ 未来から逃げ過去を追い越せ
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